評価でGO!ネットブログ 〜いま、現場から〜
  • [2010-10-21] 地域生活サポートセンター関係者からのメッセージ

    サービス評価が変える介護サービス〜いまこそ、原点へ〜


    公益社団法人 認知症の人と家族の会 副代表理事
    川崎幸クリニック 院長
    (地域生活サポートセンター理事)
    杉山 孝博

    介護サービスの質の確保と向上をめざし、グループホームならびに小規模多機能型居宅介護において、サービス評価(自己評価・外部評価)が制度化され、全国で大事な役割を果たしつつありますが、まだ多くの課題があります。


    介護サービスの質を高めるには、評価調査員の気持ちや努力は欠かせない

    介護サービスにおいて、利用者や家族からの信頼を得る最短の道のりは、その質を高めることです。そのためには、介護の状況を見直し、振り返り、少しでも高めるための「気づき」が必要です。
    杉山孝博
    自己評価は、事業所の職員が良質な介護サービスの具体を学んだり、評価結果をもとに意識統一をはかる素材となります。

    外部評価は、事業所と評価調査員との協働作業です。この協働作業を有効にするには事業所と評価調査員が、お互いに理解しあい、評価調査員にも客観的な評価ができるような知識と努力、研鑽が必要だと思います。外部評価の制度は、評価調査員の気持ちや努力にかかっているといっても過言ではありません。事業者の立場やいろんな思いをうけとめて、すこしでもよい形に評価がすすむように努力してほしいと思います。


    「余裕がない」には「プロ意識」がカギ

    介護サービスだけでなく、仕事をする人たちの中で共通するのが「余裕がない」という問題です。それにどう対処していったらよいのか。

    基本的には「プロ意識」だと思います。プロ意識には、いくつかポイントがあります。1つには、倫理性です。倫理性がないと、専門的、プロではありません。また、組織をつくることも大事です。自分たちで勉強をして、ネットワークをつくることは、仕事の質を高め、社会的な評価や経済的な評価にもつながります。

    こうした中で、新しい状況がうまれてくると思います。外部評価も、そうした動きが求められていると思います。


    外部評価は、事業所の思いを実現させるためのツール

    個々の事業所はそれぞれ思いをもってやっています。介護サービスは画一的にしなければいけないとか、外れたから駄目だという単純なものではありません。

    しかし、評価項目は基礎でもあります。評価調査員が基本的なことを理解しないと、それは本当の価値、良い活動にはつながらないと思います。外部評価は、単にこの事業所はいいところだ、悪いところだとか、ランクづけをしたりすることが目的ではありませんし、査察をするようなものとは違います。

    一番大切なのは、事業所がやりたいという思いをしっかりと実現させるための1つのツールとして、外部評価を使ってもらえたらよいと思います。


    地域の人や行政の理解・協力を得ながら

    介護サービスの質の確保と向上には、地域の人たちの理解も欠かせません。運営推進会議において、自己評価、外部評価をもとに、こうしたことはむずかしい、こういうやり方はいいのでは、と議論しながら理解しあっていくことは、とても大事なことです。地域の人たちにとっても、こうした理解が深まることは地域づくりという面などプラスに働くと思います。

    また、取り組みを推進するには行政との関係も大事です。行政へどんどんアピールして、仲間に引き込むこと、サービス評価がどういう位置付けで、今までどういった成果があがっているか、実績を伝えることなどが必要です。こうしたデータは行政にとっても重要です。サービス評価のデータは単なる監査とは違い、現場について理解を深め、取り組みの支援にもつながっていくものだと思います。


    「認知症でもその人らしい生活を」という思い〜いまこそ、原点へ

    「介護サービス情報の公表(情報公表)」制度の導入に伴い、事業所の負担感が増し、制度についての混同もみられます。その一方で、評価機関・評価調査員の質の低下も懸念されています。現在あらたに、情報公表制度の見直しについて議論がされていますが、その過程で外部評価は情報公表とは違うのだ、ということが明らかになったのではないかと思います。

    私は、よく「歴史をふりかえりましょう」と申し上げるのですが、グループホームの原点は、認知症の人に、その人らしい生活をしてほしいという思いから始まったわけです。外部評価の制度も、事業所自身から介護サービスの質をあげようという声が出て、こうした声から仕組みづくりがすすめられてきたのです。 そして評価調査員も、グループホームをもりあげよう、自分たちも知りたい、地域の中で定着させよう、という思いをもって、この動きに加わってくれました。

    どんなにいい仕組みであっても、それが「義務化」となると、最初の思いが忘れられがちです。これは制度化の難しい側面なのですが、やはり原点に立ち返ってものを考えることが大事です。こうした原点をぜひみなさんにご理解いただき、介護サービスの質の確保と向上にむけて、ご一緒に進んでいただければと思います。